夢のマイホームとして新築や築浅のマンションを購入したにもかかわらず、入居後わずか数年で室内にひび割れを発見し、愕然とする方は少なくありません。新しい建物だから完璧なはず、何か欠陥があるのではないか、と不安に駆られるのも無理はないでしょう。しかし、実は築浅のマンションにひび割れが発生することは、決して異常なことではなく、むしろ建物の成長過程において自然に起こり得る現象なのです。その最も大きな理由として、コンクリートやモルタルといった材料の初期収縮が挙げられます。マンションの建設に使われるコンクリートは、施工時には多くの水分を含んでいます。建物が完成し、人々が暮らし始めてからも、その水分は数年かけてゆっくりと蒸発していきます。水分が抜けることで材料が収縮し、その際に内部に応力がかかって表面に細かなひび割れ、いわゆる乾燥収縮クラックが生じるのです。これは、建物が環境に馴染み、安定していくために必要なプロセスの一部と考えることができます。また、建物自体が持つ重量によって、構造体がわずかに沈下したり変形したりする初期沈下も、築後一、二年の間に見られる現象です。これも壁や天井にひび割れを引き起こす一因となります。さらに、日本のように四季がはっきりしている国では、季節ごとの大きな温度変化や湿度の変動も無視できません。夏は暑さで建材が膨張し、冬は寒さで収縮します。この繰り返しの動きが、特に異素材が接合する部分、例えば壁と天井の境目や、石膏ボードの継ぎ目などにストレスを与え、壁紙に亀裂を生じさせるのです。これらの築浅物件に見られるひび割れのほとんどは、幅が〇・三ミリ以下のヘアークラックと呼ばれる軽微なものであり、建物の構造的な安全性に影響を与えることはありません。もちろん、ひび割れが明らかに広がっていく、あるいは幅が非常に大きいといった場合は、専門家による点検が必要ですが、築浅だからといってひび割れが一切発生しないわけではない、ということを知っておくだけで、無用な心配を減らすことができるはずです。
網戸本体を丸ごと取り替える時
網戸の網が破れた場合、多くの人は網の張り替えを考えます。しかし、網戸の不具合は網だけが原因とは限りません。長年の使用により、網戸の骨格であるフレーム自体が寿命を迎えていることもあり、その場合は網戸本体を丸ごと取り替える必要があります。では、どのような状態になったら本体の取り替えを検討すべきなのでしょうか。そのサインはいくつかあります。まず、網戸の開閉がスムーズにいかない、ガタガタと大きな音がする場合です。これは、フレームの歪みや、戸車の著しい摩耗・破損が原因かもしれません。また、網戸を閉めても、サッシとの間に隙間ができてしまう場合も、フレームの変形が考えられます。このような状態では、いくら網をきれいに張り替えても、隙間から虫が侵入してしまい、網戸本来の役割を果たせません。網戸本体の取り替えを決意したら、最も重要で、かつ最も失敗が許されない工程が「採寸」です。ここで測り間違えると、せっかく購入した網戸が取り付けられないという最悪の事態に陥ります。採寸で測るべきは、主に「高さ」「幅」「レールの種類」の三点です。高さは、網戸がはまるレールの、上レールの溝の最も深い部分から、下レールの最も高い部分までを測ります。幅は、窓を閉めた状態で、ガラス戸の端から、網戸が収まる側のサッシの枠までを測定します。この時、メジャーがたるまないように注意し、ミリ単位で正確に測ることが肝心です。念のため、複数箇所を測って確認すると良いでしょう。採寸した寸法をもとに、ホームセンターなどで既製品を探すか、サイズが合わない場合はオーダーメイドで注文することになります。既製品は安価ですが、古い住宅などではサイズが合わないことも多いため、その場合は多少高価でも、自宅の窓にぴったりと合うオーダーメイドを選ぶのが確実です。正確な採寸こそが、網戸本体の取り替えを成功に導く唯一の鍵なのです。
リフォームで留守にするメリットとデメリット
お風呂のリフォーム中に家を留守にすることについて、多くの人は不安やデメリットばかりを想像しがちですが、実は施主側にとってもいくつかのメリットが存在します。もちろんデメリットも理解した上で、自分たちのライフスタイルに合った選択をすることが重要です。まず、留守にすることの最大のメリットは、精神的な負担が少ないことです。一日中、家の中で工事の騒音や振動、埃に耐えるのは、想像以上にストレスがかかるものです。また、職人さんへのお茶出しなど、常に気を遣わなければならないというプレッシャーからも解放されます。仕事や外出など、普段通りの生活リズムを崩さずに済むのは大きな利点と言えるでしょう。職人さん側にとっても、施主が不在の方が作業に集中でき、工事が効率的に進むというメリットがあります。結果的に、予定よりも工期が短縮される可能性もゼロではありません。一方、デメリットとして最も懸念されるのが、工事の進捗状況をリアルタイムで確認できないことです。もし、現場で何らかの想定外の問題が発生した場合や、仕様について急な判断を求められる場面で、すぐに対応できない可能性があります。これにより、工事が一時的にストップしてしまったり、意図しない形で作業が進んでしまったりするリスクが考えられます。また、残念ながら、盗難や家財の破損といったトラブルの可能性も完全には否定できません。これらのデメリットを軽減するためには、やはり業者との緊密なコミュニケーションが不可欠です。毎日、電話やメールで進捗報告をしてもらう、急な判断が必要な場合は必ず連絡をもらう、といったルールを事前に決めておくことが重要です。留守にすることは、決して悪いことばかりではありません。メリットとデメリットを天秤にかけ、十分な対策を講じた上で判断することが、後悔のないリフォームに繋がります。
素人が挑んだ床板張替えの一部始終
我が家のリビングの一角、歩くたびに「ミシッ」と嫌な音を立てる場所がありました。最初は気にしないようにしていましたが、徐々に床が沈むような感覚も加わり、見て見ぬふりはできない状況に。業者に見積もりを頼むと、予想以上の金額。そこで、無謀にも「自分でやってみよう」と決意したのが、私のDIYによる床板張替え挑戦の始まりでした。まず、問題の箇所のフローリングを剥がす作業から始めました。専用のバールを使い、一枚一枚慎重に剥がしていくと、その下から現れたのは、湿気で黒ずみ、部分的に腐食している下地の合板でした。床鳴りの原因はこれだったのかと納得すると同時に、素人が手を出してしまったことへの不安がよぎりました。インターネットで調べた知識を頼りに、腐食した部分の下地合板をノコギリで切り取り、新しい合板を同じ大きさにカットしてはめ込みます。サイズがずれないよう、何度も測り直しながらの作業は神経を使いました。下地の補強を終え、いよいよ新しいフローリング材を張る工程へ。今回は、既存のフローリングと色合いが近い複合フローリングを選びました。一枚目を壁際に固定し、二枚目の実(さね)と呼ばれる凸部分を、一枚目の溝に差し込み、ゴムハンマーで軽く叩いてはめ込んでいきます。パチン、パチンと小気味よい音を立てて床面が再生していく様子は、まさに感動的でした。全ての作業を終え、恐る恐るその場所に立ってみる。あの不快なきしみも沈みも、嘘のようになくなっていました。確かにプロの仕上がりには及ばないかもしれませんが、自分の手で家の問題を解決したという達成感は、何物にも代えがたいものでした。この経験を通して、家への愛着がより一層深まったのは言うまでもありません。