中古物件のフルリノベーション体験談・アイデア

害虫
  • 古い網戸の戸車交換を父から教わり学んだ家を大切にする心

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    実家の古い日本家屋には、長年使い込まれた重厚なサッシが並んでいますが、そのうちの一つ、縁側の網戸がついに動かなくなってしまいました。力任せに引くと耳障りな金属音が響き、母が困り果てているのを見かねて、父が私を呼び寄せました。「網戸の機嫌を直してやろう」と言って、父は使い込まれた道具箱を広げ、私に戸車交換の手ほどきを始めたのです。網戸を外して逆さまに置くと、そこには真っ黒に汚れ、車輪が欠けてしまった古い戸車がありました。父は「どんなに立派な家でも、こういう小さな部品が支えているんだ」と静かに語りながら、慣れた手つきで部品を外し、私に新しい戸車を手渡しました。新品の部品をサッシの溝に収める作業は、まるでパズルのピースを埋めるような楽しさがありました。ネジを締め、戸車の高さを左右交互に調整する父の横顔を見ながら、私は家をメンテナンスするということは、単に壊れたものを直す以上の意味があることに気づきました。それは、これまでの暮らしに感謝し、これからの時間をより豊かにするための、静かな対話のようなものです。作業を終えて網戸を戻し、父が「やってみろ」と私に促しました。そっと手を添えると、網戸はまるで生き返ったかのように無音で、軽やかにレールを滑りました。その瞬間の驚きと喜びは、今でも鮮明に覚えています。母が「まあ、軽くなったわね」と笑顔を見せ、父が満足げに頷く光景を見て、自分の手で家の不具合を解消することの価値を深く学びました。その後、自分の家を持った今でも、私は網戸の動きが悪くなると迷わず自分で戸車を交換します。ホームセンターで部品を選び、ドライバー一本で修理に取り組むとき、あの日の父の言葉と、スムーズに動き出した網戸の軽やかさが蘇ります。家を大切にするということは、こうした小さな手入れを惜しまないこと。戸車一つを新しくするだけで、家の中には新しい風が吹き込み、家族の心も少しだけ軽くなるような気がします。網戸の戸車交換は、私にとって単なる修理作業ではなく、世代を超えて受け継がれる「家への慈しみ」を再確認するための大切な時間となっています。