「まだ使えるから」と、古いお風呂のリフォームを先延ばしにすることは、様々なリスクを抱えることに繋がります。 見た目の問題だけでなく、住まい全体の安全性や健康、そして将来的な費用にも影響を及ぼす可能性があるため、その危険性を理解しておくことが重要です。最も懸念されるリスクの一つは、水漏れによる家の構造へのダメージです。 長年使用したお風呂は、浴槽や壁のひび割れ、タイルの目地の劣化、コーキングの剥がれなどによって、目に見えない隙間から水が内部に侵入しやすくなります。 この水漏れが放置されると、土台や柱といった建物の構造材が腐食し、最悪の場合、シロアリ被害や建物の耐久性低下に繋がる恐れがあります。 構造材の腐食が進んでからでは、お風呂のリフォームだけでなく、家全体の補修が必要となり、費用も大幅に高額になってしまいます。次に、健康面への悪影響も無視できません。 古いお風呂は、換気性能が不十分であったり、カビが発生しやすい素材が使われていたりすることが多く、頑固なカビや雑菌が繁殖しやすくなります。 カビはアレルギーや喘息の原因となるだけでなく、嫌な臭いの発生源にもなります。 常に不衛生な環境での入浴は、心身のリラックス効果を損ねるだけでなく、健康を害するリスクを高めます。安全性の低下も重大なリスクです。 滑りやすい床材や、浴槽をまたぐ際の高い段差、手すりのない浴室などは、転倒事故を引き起こす原因となります。 特に、高齢者や小さなお子様がいる家庭では、これらのリスクはさらに高まります。 冬場の「ヒートショック」も古いお風呂では対策が不十分な場合が多く、命に関わる危険性があります。さらに、光熱費の増加という経済的なデメリットも考えられます。 断熱性能が低い古いお風呂は、お湯が冷めやすく、追い焚きの回数が増えるため、無駄なエネルギーを消費しがちです。 長期的に見れば、この光熱費の増加がリフォーム費用を上回る可能性もゼロではありません。これらのリスクを考えると、古いお風呂を放置することは、短期的な費用の節約に繋がるように見えても、長期的に見れば住まい全体の健康と安全、そして経済的な負担を増大させる可能性が高いと言えるでしょう。