長年、窓サッシの修理現場で働いてきた職人の視点から見ると、網戸がはまらないというトラブルの8割は、実はごく簡単な調整ミスによるものです。多くの人が網戸を無理に押し込もうとして、枠を曲げたり網を破ったりしてしまいますが、それは非常に勿体ないことです。プロが現場で行う最初の確認事項は、レールに歪みがないか、そして網戸の四隅にある部品が正しい位置にあるかということです。網戸の上部にある脱落防止用のストッパー、通称「振れ止め」が上がったままになっていることが、はまらない原因の第1位と言っても過言ではありません。この部品は網戸が外れないようにするためのものですが、取り付ける際には邪魔になるため、必ずネジを緩めて下げておく必要があります。また、意外と盲点なのが、網戸の「ねじれ」です。網戸を平らな場所に置いたとき、どこか一つの角が浮き上がっているようであれば、それはフレーム自体が歪んでいます。歪んだ網戸は、どれだけレールの位置を合わせても、対角線上の角が引っかかってしまい、スムーズにはまりません。このような場合は、網戸の両端を持って軽くひねるように力を加え、平面に戻してやる修正が必要です。ただし、アルミは一度曲がると強度が落ちるため、慎重に行う必要があります。さらに、プロは「滑りの良さ」にもこだわります。網戸がはまったとしても、動きが重ければまたすぐに外れてしまうからです。レールの清掃はもちろんのこと、戸車にシリコンスプレーを軽く吹き付けるだけで、驚くほどスムーズに動くようになります。ただし、油系のスプレーは埃を吸着して逆効果になるため、必ず乾性タイプのシリコン剤を選ぶのがプロの選択です。網戸がはまらないという問題に直面したとき、まずは深呼吸をして、部品一つひとつの役割を観察してみてください。ネジを一本緩める、ゴミを一粒取り除く、そんな些細なことで解決することがほとんどです。もし何をしてもダメな場合は、サッシの枠自体が重みで下がっている「枠垂れ」の可能性があり、これはプロの出番となります。無理をして怪我をする前に、構造を理解してスマートに解決しましょう。
網戸がはまらない悩みを解決するプロの知恵